学研教室の卒業生 田中さん
フルート奏者
田中利奈
世代を越えてフルートを演奏していきたい
フルートの音色の美しさに憧れた小学校時代
現在は、フルート奏者、そしてフルート講師として活動しています。
フルートとの出会いは、小学生のときでした。金管バンドクラブでアルトホルンという楽器を担当していたのですが、あるとき別の小学校のクラブに、フルートを吹いている子がいたんです。その子が自分と同年代であったこと、そしてフルートという楽器が優しい音色で主旋律を奏でていることに感激し、自分もフルートを演奏したいと思うようになりました。実際に自分のフルートを手にしたのは、11歳のクリスマスの日でした。母にフルートが欲しいと相談すると「サンタさんに頼んでみたら?」と言われ、サンタさんからのクリスマスプレゼントとしてフルートという楽器が届いたことから音楽への道がスタートしました。
フルートを演奏することを仕事にしたいと考えるようになったのは、中学2年生の進路希望調査のときでした。クラスメイトは地元の高校や、自宅近くの進学先を選んでいたのですが、私は音楽を専門に学べる高校に行きたいと思ったんです。そこで初めて、私はフルート奏者になりたいんだと自覚しました。ただ、自宅近くにはフルートを学べる場所がなかったので、母に相談をして、車で2時間ほどかかる場所で、本格的にフルートを習うようになりました。当時、14、15歳くらいでしたから、長時間移動に不安もありましたが、あのときに音楽の高校に行きたいと思っていなかったら、そして母に相談をしていなかったら、今頃違う職業に就いていたかもしれないので、結果的にはよかったなと感じています。
同級生がきっかけで入った学研教室
小学6年生から中学3年生まで、学研ことぶき教室に通っていました。通うようになったきっかけは、同級生に指導者の峰高先生のお子さんがいらしたことでした。ちょうど先生が教室を開かれると聞き、自分もそろそろ塾に通ったほうが良いのではないかと思っていた頃だったので、そのまま申し込みをしました。ほかに仲がよかった友だちも自然と教室に通うことを決めていたので、じゃあ私も、みたいな感じでしたね。
学研教室は自分のペースで学ぶことができたので、それが私には合っていたなと思います。たとえば、病気や部活動の関係で教室に行けなかったときも、知らない間に学習が進んでしまうことがないんです。次に教室に行ったときには前回の続きから学べましたし、自分のための教材が用意してあるのもうれしかったです。音楽でも同じことが言えるのですが、私は理解できないまま先に進んでしまうと、どんどんわからないことばかりになって辛くなってしまうんです。ですから、自分のペースで理解できるまで学べる学研教室は、とてもありがたい場所でした。
私にはまったく性格の違う妹がいます。私は人前に出ることに抵抗がなくハキハキと話すタイプなのに対して、妹は少し引っ込み思案だったんです。彼女も学研教室に通っていたのですが、先生は、性格が正反対のふたりにそれぞれ合った教え方をしてくださっているのだとわかり、一人一人に向き合ってくださったから、無理なく学べたのだなと感じています。
先生はとても優しく、メリハリのきっちりとした先生でした。おそらく、私がフルート奏者を目指したことに驚いていらしたと思うんですね。でも、学研教室を離れてからも「身体に気を付けて」とか「演奏会をするときには応援に行くからね」と言ってくださったことは、今でも励みになっています。大学を卒業してフルート奏者として地元に戻ってきたときに、お披露目のリサイタルに来てくださって、それから交流が再開しました。今でもリサイタルに来てくださったり、先生主催のイベントで私が演奏させていただいたりと、交流が続いています。
コミュニケーションも学べた学研教室
学研ことぶき教室には、峰高先生だけでなく、アシスタントとして現役の高校生の方が教室にいたこともよく覚えています。いろいろなアシスタントの先生が曜日ごとにやってきて、質問も一対一で気軽に何度もできたので、私にはありがたかったです。
私は国語が得意でしたが数学が苦手で、数学が得意な先生が一生懸命図形を書いて教えてくださったことも思い出に残っています。英語も苦手科目でしたが、好きな音楽の歌詞を見て、どんな意味だろうと調べていたら、だんだんと苦手意識は減っていきましたね。
先生はよく「お楽しみ会」を開いてくださったんです。ボウリングに行ったり、交流会をしたりして、人との付き合いがすごく盛んな教室でした。当時、先生のお家にホームステイをされていた外国の方ともよくお話をしていましたし、いろいろな先生や先輩・後輩とも仲がよかったので、人と人とのつながりやコミュニケーションの取り方も学研教室で学べたなと感じています。早くから幅広い年齢の人と接していたから、人見知りにならずにいられたのではないかと感じていて、今、講師として生徒に演奏を教える中でも、とても役に立っています。
いつかは自分の生徒と一緒に演奏をしてみたい
講師として指導するようになって、どうしたら自分の思いを正しく生徒に伝えられるかを、常に考えるようになりました。教える立場に回った今では、峰高先生たちがどうやって教えてくださっていたのかを思い出しながら参考にしています。特に、中学生くらいの子は多感な時期なので、どんな言い方なら思いが伝わるか、どう言ったらやる気を出してもらえるのかはすごく気を配っていますね。生徒から「先生のような音が出ないのは楽器が悪いんですか?」と質問されることもあるんです。そういうときにふと、自分が教室の生徒だった頃、解けないことを問題のせいにしていたなと思い出して、なつかしい気持ちになることもあります。
現在は、フルートの魅力を多くの方々に知っていただくことを目標に、自主企画公演や依頼演奏などの活動をする一方で、地元を中心に後進の指導や大人のためのフルート教室を開講するなど幅広い業務にあたっています。無料公演はもちろんですが、入場料が発生するようなコンサートに以前お越しいただいた方々のお顔がステージから見えると活動の原動力になり、学研教室を通して出会った方々がお見えになるとつながりの深さを感じます。
ちょうどこのインタビューの依頼がきた際には、地域の子育てセンターで出前コンサートをしている最中で、私が子どもの頃に大変お世話になったピアノの先生に伴奏をお願いして一緒に演奏しました。大人になってからも改めて活動を通して、ピアノの先生から教わることが多々あり、私も将来は自分の教え子たちと公演やステージを重ね、日々精進していきたいと思っています。