学研教室の卒業生 伊藤さん

経済協力開発機構(OECD)
伊藤雄平
目の前のことをひとつひとつ大切にしていきたい
子どもの頃からあこがれていた海外での仕事
私は現在、経済協力開発機構(OECD)の交通部門である国際交通フォーラム(ITF)で、交通政策のアナリストを務めています。最近は「ウクライナ支援に向けた関心国グループ(CIG4U)」の発足をリードし、交通分野におけるウクライナの復興支援を行っています。その中で私は、ウクライナが物流インフラへの投資や援助をより受けられるようにするため、戦後復興へ向けた政策提言を行っております。ただ破壊されたインフラを修復するのではなく、より強靭なインフラを目指すため、東日本大震災の復興の教訓を紹介するなど、日本人職員だからこそできる貢献を意識して取り組んでいます。なかなか難しいプロジェクトではありますが、一国だけでは成し得ない支援を、国際機関の立場から行えることに深い意義とやりがいを感じています。
幼い頃は近所で外国の方を見かけることは少なかったのですが、アイルランド出身の先生が英会話教室を開いており、私もそこに通ううちに海外に興味を持つようになりました。中学校の夏休みに語学学習でアイルランドを訪れ、様々な国から集まった子どもたちと交流する中で、「自分も将来は国際的な舞台で活躍したい」と考えるようになりました。
OECDで働く前は、国際協力機構(JICA)関連の途上国支援を行っていましたが、先進国向けに例えば電気自動車をどう普及させるかといったテーマに興味が向くようになり、OECDに転職しました。

▲語学研修に参加した際の記念写真
学研松が岬教室には、小学校5年生から中学卒業まで通っていました。当時、私は別の塾に通っていたのですが、母が学研教室のお手伝いをしていた際、学研の教材はじっくり学ぶのに向いていると感じたそうで、学研教室に移りました。以前の塾は、正解率や正答までの時間を重視していて、なぜ間違えたのかのフォローがあまりありませんでした。ですが、学研教室は解き方がわからないときに「わかりません」と伝えると、先生が一緒に考えて、答えではなく正解までのヒントをくださいました。一人一人が落ち着いて勉強に取り組める環境にあったので、自分にもとても合っていたように思います。
受験前などに成績が落ちると、両親は心配しますが、それがプレッシャーになることもありました。ですが木村先生は、成績が下がったときは「次の試験に向けて頑張ろう」とやさしく励ましてくれました。さらに、どこが苦手なのかを一緒に考え、どうすれば克服できるのかの建設的なアドバイスもくださいました。そのおかげで、焦ることなく、自分のペースで着実に学ぶことができ、学研教室が家庭とも学校とも違う、安心できる場所になりました。テストがダメだったからといって、人生がダメなわけではないと考えられるようになったのは、先生のおかげです。
学び以外のアドバイスもくださった木村先生
海外で働くことを夢見ていた私にとって、海外旅行が大好きな木村先生とのお話は、とても刺激的でした。先生から旅先でのお話を聞いたり、時には異国のお土産をいただいたりもしました。海外で働くために英会話教室に通い、学研教室でも英語を学んでいた私ですが、木村先生を始め周囲の大人からは「英語ができるだけでなく、海外で何をするかを考えるのも大切だよ」と声をかけていただき、英語で何をするかを常に考えていました。
その結果、環境問題や動植物にやさしい社会を作りたいと考えるようになり、高校卒業後はオーストラリアの大学に進学して、都市計画を学びました。都市というのは環境負荷が大きいので、うまく対処すれば環境問題の解決に繋がるのではないかと考えるようになったのです
木村先生は、オーストラリアで大学に通う私の元へも遊びに来てくださり、現地を一緒に観光したこともありました。教室を卒業してからも、何かと私のことを気にかけてくださり、私もよく教室に顔を出していました。そんなふうに現在まで先生と繋がるご縁をいただけたことは、とても大切に感じています。

▲学生時代、メルボルンへ先生が訪問したときの写真
未来に向けて、多くのことを考えていきたい
現在働いている国際機関は、終身雇用ではなく、組織の中で人材を育てていくという仕組みは基本的にありません。常に主体性が求められます。様々な国籍やバックグラウンドを持つ人たちと一緒に働くので、日本の常識が通じないことも多々あります。「自分が何を理解していて、何がわかっていないのか」を明確にし、それを自分から発信していく姿勢がとても重要です。
そうした今の働き方の土台となっているのが、学研教室での学び方だったと感じています。学研教室では、それぞれのレベルに応じて教材が用意され、自分の苦手なところやつまずいた部分を、先生が一人一人丁寧に見てサポートしてくれました。「わからないことをそのままにせず、必要なサポートを受けながら前に進む」という姿勢は、現在の仕事にも通じる大切な力です。子どもの頃に自然と身につけたその学び方に、今あらためて感謝しています。
国際機関の仕事は、なかなか手応えが感じにくい、長期的な仕事も多いです。また、世界情勢によって、今までの頑張りが報われなくなることもよくあります。ですから、まずは目の前のことをひとつひとつ、丁寧に取り組んでいきたいです。そして、これからの自分の道も、ひとつと決めずに考えていきたいと思っています。

▲伊藤さんのお仕事中の様子